2003. 9. 京都府 北区 上賀茂の家-2

京都市内が一望できる、多重層のワンルーム住宅 「 陽だまりの家 7 」

CONCEPT

「 一畳の穴 」

近代住宅においてル・コルヴュジェは「住宅は住むための機械である」と兆発しました。鉄でできた自動車が当時の生活に役立ち、しかも美しい。これは素晴らしい事で、住宅にも同様の事が出きるのではないかと考えたのではないでしょうか。たしかに、これ以降、人中心で機能的な住宅建築が数多く設計され、都市の様相は住みやすい形態に進化してきました。

しかし昨今における、日本での少年犯罪、精神的なダメージを負った人々の増加を考えると、機能的な都市環境や人間関係、経済至上主義がもたらした価値観に追い込まれた都市生活者像が想像されます。

今、住宅にできることは、何でしょうか。

ある意味では懐古主義になるかもしれませんが、おやじがおやじであり、おふくろがおふくろであり、こどもがこどもであった時代があります。日本では家族間であっても階層的とも思われる秩序が存在し、質素倹約のもと、口や態度で表わさない愛情に満ち溢れた家族が形成されていました。この家族単位のコミュニティは人の間尺に合うサイズであり、都市・経済・人間関係も間尺にあうサイズのものであったかもしれません。

現代都市における超個の時代に、もはや家族単位は存在感を薄くし、家族の秩序も変化しつつあります。今もういちどシンプルに家族を見つめ、機能だけでなく精神的に安らぐ住宅空間の存在が必要になってきていると思われるのです。今住宅は多層レベルに渡り、それぞれの機能、役目を持ち、さらに誰の場所になるのか、という場の居心地が、暗に設定され、それが成長とともに変化するよう考えました。

それぞれのレベルが違うフロアは、すべてが微妙に形態を違え、上部に行くほど面積は小さくなっていく、そのフロアは平面的にもずれを生じ、結果として、たたみ一畳分の吹抜けが最下階より最上階までを貫くかたちになりました。

この穴は、家族の肉声が聞こえる穴であり、光や風も同次元に誘導します。おやじの怒鳴る声が聞こえ、おふくろの包丁の音が聞こえ、子供の顔が見える穴です。

藁葺き屋根の家に見られた田の字レイアウト、京町家に見られたトオリニワやツボニワをはさむレイアウト、家族が家族らしい秩序をもち、安らぎの棲家としてあった住宅を、多重層に展開する事で試みた住宅です。

CN‐JAPAN 藤村 正継

DATA 構造:木造軸組2階建
規模:敷地面積/121.46平米(37坪)
建築面積/49.69平米(15坪)
1階床面積/49.69平米(15坪)
2階床面積/19.87平米(6坪)
2.5階床面積/9.937平米(3坪)
計/79.49平米(24坪)
テラス/19.87平米(6坪)
竣工:2003年9月
建築費:約1800万円(本体価格)
      
Copyright(C) 2007 CREATIVE NETWORK CO.,LTD. / CN-JAPAN. All Rights Reserved